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2011年4月2日土曜日

住生活エージェントってなんだ!?

ある住宅コンサルタントの方のプロフィールを拝見したところ、「経済産業省推奨の住生活エージェントです。」の表示を発見。なんだろう?と思って調べてみた。ググってみると、住生活エージェントのガイドライン」なるものを発見。2006年3月に消費者エージェント普及委員会(事務局は三菱総合研究所)が経済産業省の事業で作成したものらしい。

住生活エージェントの定義。「住生活エージェントとは、生活者と供給者との情報格差を埋める役割を担い、生活者が適切な住環境を選択できるように、専門的な知見を基礎として公正中立な立場からサービスを行う事業者のことをいう。」のだそうだ。

なるほど。様々な知識が総合的に問われる不動産の取引や住宅の建築において、エンドユーザーが不動産業者の言いなりであったり、設計者や施工者に意見できなかったりというのも事実。その橋渡し役が重要であることは、前々から言われていたことである。

今まで、その部分を担ってきたのが各社の営業マンである。しかし、大手メーカーではその苛酷な労働環境から、知識や経験が集積したころ(30歳前後)に離職する者が多く、どうしても若手営業マンの勢いとフレッシュさを前面に出した“人情営業”になりがちだ。また、地場の工務店では、そもそも営業マンがおらず、社長のワンマン営業となってしまう。社長のワンマン営業も悪くはないが、「坪○万円で、やってやるから!」みたいなザックリした提案になってしまう。エンドユーザーが不安になってしまうのも無理はない。

また、メーカーや工務店専属の営業マンだと、どうしてもメリットを強調してしまうので、デメリットが見えにくくなる。その点、エージェントが間に入れば、客観的にメリットデメリットを比較検討でき、有効である。



ただ、住生活エージェントの定義にもある通り、 “専門的な知見を基礎として”という部分を、どう客観的に担保するのかが問題である。書店に並ぶ住宅本は数多い。それ等の著者のプロフィールをチェックすると、「なぜ、この人が?」という者もいる。「今までに、沢山住宅を見てきました!」とか、「昔から間取りが好きでした!」みたいな程度の、者から、「大工生活ウン十年」。とか学者さんまで幅広い。大工さんや学者さんは、“専門家”として頷けるが、前出の間取り好きや住宅ウォッチャーは専門家ではない。イワユる“ただの人”だ。また、「この人、専門家なのかな?」的な、“ボーダーラインの人”も多い。そういうボーダーの人たちは、学歴や実績、資格が曖昧に記されている。一見すると凄い人に見えるが、よく見るとタダの人と言うパターンも多い。また、住宅ジャーナリストという類の人たちもこの部類だろう。

たとえば、保有資格に「ファイナンシャルプランナー」と書いてあったとしよう。ファイナンシャルプランナーは、1級ファイナンシャルプランニング技能士~3級ファイナンシャルプランニング技能士の3段階である※が、2級と3級との間には大きな差がある。2級は3級の合格か、一定の実務経験を経なければ受験すらできないが、3級は高校生でも合格できるレベルである。1級でも3級でもファイナンシャルプランナーであることに変わりはない。

※ファイナンシャルプランニング技能検定とは別に、AFPAffilated Financial Planner)、CFPCertified Financial Planner)という認定資格もある。

この様に、その住生活エージェントが本物かどうかを見分けること自体がかなり困難になっているのもまた皮肉な事実だ。そこで、私なりに、どのようなポイントでエージェントを選べば良いのかをまとめてみた。

1,せめて、大学くらいは出ていてほしい
  みなさんもご存じの通り、学歴と実務とにはあまり関係がない。しかし、大学の卒業
論文をまとめた経験があるか無いかでは、その論理的思考習慣に差があると思う。情報
が氾濫する社会の中で、情報を収集して論理的にまとめ、アウトプットする作業ができ
るかどうかの一つの目安だろう。

2,建築士(1・2級・木造)もしくは、せめて宅建(宅地建物取引主任者)の有資格者
資格を持っているから仕事ができるとは限らない。しかし、資格は、一定の知識を客観的に認定しているので、無視できない。また、建築士法21条や宅地建物取引業法32条などとの絡みもあるので、コンプライアンスの面からも、それらの有資格者が望ましい。

3,大手8大ハウスメーカーの出身者が望ましい
  ここでいう8大メーカーとは、積水ハウス、大和ハウス工業、ミサワホーム、セキスイハイム、へーベルハウス、住友林業、三井ホーム、パナホームである。これらの企業は、みな上場企業であり、入社すること自体も大変難しい企業である。さらに、大手企業としてコンプライアンス意識も高い。また、営業マンの殆どが文系大学の出身者なので、自分自身が住宅の知識を習得する過程で、十分に情報を咀嚼しているので、アウトプットされた情報が分かりやすい。つまり、住宅リテラシーが高いのだ。

4,先ずは、会ってみよう。
  結局は、人とひと、フェイストゥーフェイス。会ってみて人柄や雰囲気を確かめよう。この記事を書くにあたって、一応、「住生活エージェント プロフィール」でググッてみた。業界の特性だろうか。ブローカーチックな方が多いようだ。最終的に信頼できるかを判断するのは、あなたの目と耳である。

 更に、私からの提言であるが、国土交通省や経済産業省などが連携して、住生活エージェントの最低限の能力を示す共通のモノサシを設けてはどうかと思う。これは、新たな資格を設けるのではなく、既存の資格にプラスαの講習や試験を課すことによって行うべきである。イメージとしては、不動産コンサルティング技能登録者みたいなものである。その様な、客観性こそが、この新たなビジネスの将来を拓くのである。

長文になったが、住生活エージェントがただのブローカーではなく、幸せな住まいづくりのコンダクターになることを切に望み、稿を終えたい。

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