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2010年10月9日土曜日

ロースとホームインスペクション

先日、消費者庁が焼き肉店に対して、ロース肉の標記について是正するように勧告したらしい。なんでも、ロースは、牛などの背中の肉だとか。しかし、一般的な焼き肉店ではモモの肉をロースと表記して販売をしているとのこと。これを以ての是正勧告となった模様ですが、それにしても消費者庁。他にやることあるだろうに。。。

消費者庁は、今から約1年前に鳴り物入りで発足したわが国初の消費者行政を司る官庁。しかし、発足から今日まで、その存在感が示せたことはない。消費者庁は、各省庁の管轄する消費者行政を横断的に統合する機関なので、各省庁に対しても勧告を発することができる。



これらのことを踏まえて、私が最近問題だと考えているのが、ホームインスペクションである。ホームインスペクションとは即ち、住宅診断のことである。中古・新築を問わず、その性能や状態を客観的に診断するのが業務である。もちろん、この取り組み自体は、今後大いに普及すべきだし、エンドユーザーの皆さんももっと活用すべきだと思う。

しかし、問題なのはその質である。ある団体では、その人の属性に関わらず、一定の試験をクリアすれば、“公認ホームインスペクター”なる“資格”を付与している。ホームインスペクション、つまり住宅診断は、誰が行っても良いのだろうか?

答えは、否である。建築士法第21条には、建築士のその他の業務として、「建築物に関する調査又は鑑定業務等」を定めている。つまり、ホームインスペクションは、建築士業務であり、建築士意外の者がその行為を行う場合、非建築士行為として、違法性を内包することになる。エンドユーザーの皆さんも知らずに依頼をすると違法行為に加担することにもなりかねないので、注意を喚起したい。

この種の議論の際、よく引用されるのが手塚治虫氏の漫画、「ブラックジャック」である。無免許の凄腕外科医のブラックジャックが活躍するのだが、あれはあくまでもマンガのはなし。現実社会では間違いなく医師法や薬事法違反で逮捕されるであろう。

この現状を踏まえ、消費者庁は、国土交通省並びに、経済産業省に対して是正を勧告すべきである。また、当事者団体も、自浄作用を発揮して、同資格の付与を建築士に限るなどの措置を講ずるべきである。さらに、住宅診断に携わる建築士も、ホームインスペクターとして住宅診断を行うのではなく、『建築士』の名称を用いて住宅診断を行うべきである。

関係各位の良心と正義に期待する。

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