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2013年2月10日日曜日

絶望の隣は希望です!

読書感想文です(´-ω-`)




「いくつもの電車に乗り遅れ、ようやく乗り込んだはいいが、その電車はすし詰め状態。とても座る席などありません。でも僕は電車を降りなかった。僕は人生は満員電車じゃないかと思うんです。我慢して乗っていると次々に人が降りていっていつの間にか席が空いて座れる。」著者のやなせたかし氏は、ご存知アンパンマンの作者。60歳近くなってアンパンマンが売れ出して、それが代表作だというから遅咲きもいいところだろう。そんな著者の言葉だから重みがある。もちろん、じっと我慢して満員電車に乗り続けていたわけではない。「詩をかく、絵をかく、恥をかく」の3かく運動を地道に積み重ねてきた結果かのだ。ちなみに、“恥をかく”は、恥はかき捨ての精神で何にでも挑戦することの例え。
 冒頭の一文がラジオから聞こえてきた。含蓄のあることを言う人もいるもんだなどと思いながら聞いていると、アンパンマンの作者だという。もちろん、名前くらいは知っていたが、どんな人物かと興味がわいた。本を読んでみると、不遇というわけではないが、30代半ばの独立から60歳のアンパンマンまで代表作がなく、それに対するコンプレックスや葛藤があったようだ。こんな詩が載っていた。

絶望の隣にだれかがそっと腰をかけた
絶望は、隣の人に聞いた
「あなたはいったいだれですか」
隣の人はほほえんだ
「私の名前は希望です」

“一寸先は闇”という言葉がある。が、著者は“一寸先は光”になることが人生には往々にしてあるのですという。私たちも、実はそういう体験をたくさんしているのに、一寸先は闇と肩をすぼめて生きている。そんな生き方、なんだかつまらないな。なんて思ってみた。

変わってアンパンマンのはなし。著者曰く、アンパンマンは、世界最弱のヒーローなのだそうだ。少しでも顔が濡れると弱くなって、すぐにジャムおじさんに助けを求める。そのくせ、お腹のすいた人には顔を食べさせてしまう。氏は、「本当の正義の味方なら、まず飢えている人を助けるべきでしょう。その後で正しいとか、正しくないとか主義が違うとか言うならまだしも、罪もなく死んでいく人を見捨てて戦っているのはおかしい。」著者の戦争体験が、強烈に反映されているようだ。「困っている人には手を差し伸べ、飢え死にしそうな人には食べ物を分けてあげたいという気持ちは共通のはずです。僕は、そう信じたくて、そんな思いから、困っている人には自分の顔をちぎって食べさせる心優しいアンパンマンを誕生させることにつながりました。」くどくなるので割愛するが、著者の人生哲学そのものなのだそうだ。この本を読むと、アンパンマンの見方が変わる。メルヘンではなく哲学になってしまうのだ。それも良し悪し。(物理的にも)読みやすい本なので、一読をおすすめする。

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