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2012年6月21日木曜日

工藝文化

柳宗悦著 岩波文庫 「工藝文化」


実用性と社会性と道徳性と国民性を最もよく兼ね備えたものとして、民衆的な工藝が工藝の正統系である。


実用性とは、生活に即しているとうことであり、社会性とは文化に寄与する力、道徳性とは人道性であり、これを欠くものは仕事の確実性を欠く。それらを兼ね備えたものが工藝の正統である。工藝とは、名もない工人手工によって作り出す、伝統に基づき実用に即した什器全般であり、著者は、そこに、美術と双璧を成す況やそれをも凌駕する美が存在すると説く。建築も工藝的であって然るべきだと説く。しかし、現代の建築に実用性・道徳性・国民性が必ずしも見出せるとは限らない。廃頻的・虚無的・悪魔的・幻夢的・抽象的でありはしないか。ここで著者は名もなき工人たちの組織性、伝統性がそれらを駆逐するすなわち「不自由の自由」を説く。個に寄るを戒めるのである。


材料は天然の賜物である。そこには人智で計りがたい幾多の神秘が宿る。適した材料を得ることは自然の恩恵を受けることである。工藝は人の作るものとは言うが自然の恵みに浴さずして作ることはできない。作るのはその恵みを記念する意味である。良い品を愛するのはその恵みを讃えているのである。


著者は、材料をはじめとする地域の特色が工藝に大きな影響をもたらすのだという。それを記念し讃えるのだと。住まいこそ、自然への礼賛、先祖への感謝、子供たちへの贈り物であり、我々工人はそれらを記念し、住まい手はそれらを恵みとして讃えるのである。




太字が本文、細字が私の感想とか解説的なものです。とにかく、久しぶりに「いい本だなぁ~」って思いながら読みました。岩波文庫ですから、正直手ごわかったですが。。これを読んで、仕事への取り組みや職人のあり方、伝統の堅持など、考えさせられました。どうしよう(ー_ー)!!もう何回か読まなきゃいけないですねw

著者は、柳宗悦(やなぎむねよし)です。日本で最も美しい椅子、バタフライスツールの柳宗理さんのお父さんで、日本民芸館初代館長。哲学者、思想家だそうです。

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