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2011年12月11日日曜日

消費税増税議論の一つのテーゼとして

我が国は、2002年から続いた戦後最長の景気拡大が2008年のリーマンショックを機に終止符を打って以来、冬の寒空の様な景気の低迷が続いている。さらに、本年3月の東日本大震災及びそれに伴う津波被害、更には福島第一原発の事故と未曾有の事態が継続している。このような中、前期高齢者人口は「団塊の世代」が高齢期に入った後に2016年の1,744万人でピークを迎え、社会保障費の増大は必至である。


当初、政府・民主党は、一般会計予算の組み換え及び特別会計の見直しによりそれらの費用を捻出するとした。しかし、2回に渡って行われた事業仕分けでも、その成果は1兆円超と限定的であり、恒久財源を得るには至らなかった。この様な自体を受け、2010年の参院選では消費税の税率引き上げの是非が争点として上がったものの、与党民主党の惨敗に終わった。社会保障費の増大に加え、復興財源の困窮が叫ばれる中、そう遠くない将来、消費税率の引き上げは避けられないとの国民的コンセンサスが得られつつあるというのが大方のみかたであろう。


他方、国民は、前政権から蓄積される無駄の払拭を望んでおり、政治主導による無駄の温床である官僚機構改革が、今後の課題である。
 消費税率の引き上げが是々非々で行わるものと考えると、非の筆頭が消費の圧迫である。


バブル経済の崩壊以来、我が国経済はデフレに喘いでいる。この様な中、さらなる価格の低下を産業界に強いるのは酷である。産業構造の変革などのマクロ的視点に立つのではなく、個々人の可処分所得を向上させるなどミクロの視点に立つことが賢明である。


可処分所得を増加させるためには、住居費や養育費、食費、交通費などを低減させるのが有効である。これらをトータルに低減させる直接・間接の施策として考えられるのが、大都市部からの人口分散である。都市部では待機児童の増加が問題となっているが地方では定員を割る保育所もあると聞く。また祖父母など家族との連携により保育所を利用しないなどの方法も考えられる。


また、住居費も都市部に比べ地方は安価であるし、職住近接であることから、交通費も抑制できるものと考える。この様に、大都市から地方への人口分散は有効であるものと考える。
 しかし、地方には職が乏しいのもまた現実である。我が国は、バブル経済崩壊後のいわゆる「失われた10年」を経て、名実ともに成熟経済へ移行した。これは外需依存の経済から内需型経済の移行を意味するのである。即ち、製造業を中心とする第2次産業の誘致で雇用を生むのではなく、医療・福祉・介護を含む第3次産業の育成に努めなければならない。


前述の通り、2016年にピークを迎えるとその後は減少に転じる。今まで同様の病院など施設中心のサービスの提供ではなく、在宅を中心としたサービスの育成が肝要である。
 この様に、消費税率の引き上げを一義的な社会保障費の充足に当てるのではなく、地域の活性化、延いては持続可能社会の実現に継る総合的な施策の推進力となることを望む。

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