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2011年11月24日木曜日

エコ住宅

昨今、地球温暖化や異常気象など地球環境が危惧されています。さらに、本年3月の東日本大震災に伴う原発事故を受けて、節電と省エネルギーやエコロジーの流れは、濁流となって私たちの生活を押し流しています。

生活の場である住宅がその流れの外に居られるはずはありません。実際、前述のような情勢の前から、“エコ住宅”への取り組みはなされていました。しかし、今考えるとそれはだいぶ牧歌的なものでした。

2011年の現在、零細工務店から積水ダイワの超大手メーカーまでエコを謡わない住宅会社はありません。オール電化=エコ、省エネルギー=エコ、自然素材=エコ。切り口は様々です。端的に言ってしまえば、全てエコですが、ワンイシューでエコを謡ってしまうことに、拙速の危うきを指摘せずにはおれません。

例えば、オール電化住宅。オール電化住宅はIHクッキングヒーターや電気温水器などを使用し、それらのエネルギーは深夜の安い電力で賄うというものです。しかし、その深夜電力の正体は、原子力発電の電気です。原子力発電は、火力や水力などと異なり、電気需要に併せて運転を調整することが出来ません。ですから、昼夜を問わず最大需要に合せて発電を行っています。日中は、火力や水力発電を調整したり、元々需要があったりで、需給バランスが取れています。しかし、夜間は、どうしても余ってしまいます。それを有効に使おうというのがオール電化住宅のそもそもの開発動機です。

余剰電力を使うという意味でもオール電化住宅はエコだといえます。が、従来電力会社がアピールしていたのは、二酸化炭素排出量の少なさのほうです。IHクッキングヒーターにせよ、電気温水器にせよ、そのもの自体は二酸化炭素を排出しません。さらに、原子力の電気ですから、大本でも二酸化炭素を出さないということです。

しかし、皆さんもご存知の通り、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故を受けて、クリーンさが売りの原子力発電は、最も汚い発電へと変わってしまったのです。ちなみに、東京電力管内では深夜電力料金の新規加入を中止、東北電力管内でも自粛となっています。

オール電化住宅の例にもあるとおり、一見してエコでクリーンでも視点や状況が変われば、とんでもない害悪となることはなんにでもあることです。こと、このエコ住宅では、包括的な視野に立って考えることが重要です。
では、何を以って比較をすればよいのでしょうか?その一つの指標にCASBEEがあります。CASBEE(Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficiency)は、建物を環境性能で評価し、ランク付けする手法です。その評価項目は、室内環境の快適性・健康性・安心や生態系に対する影響、エネルギーに関する取り組みなど多岐にわたります。つまり、CASBEEというツールを用いれば、構造から家電まで、建設時から廃棄時までを総合的に評価することができるのです。

しかし、このツールは新築時に限られることや、知名度が低いこと、評価員の絶対数が足りない事など、まだまだ普及に向けての課題はあります。が、新築を計画する際は、CASBEEを一つの指針とする事をお勧めします。